記号化を楽しむ作業
萌え系イラストについて調べたり思いを巡らせたりするうちに、長年の疑問のひとつ「前髪に隠れないまゆげ」についての答えに辿りつく。
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「なぜ隠して描かないのだろう」という疑問は、決して謎に満ちた疑問ではない。現にその解答と言えそうな理由はいくつか思いつきもした。しかし上記のサイトから得た答えは何よりポジティブなものだった。
自分の前髪の曇りがスーッと透けて眉毛が見えてくるようにスッキリしたのだ。
「キャラクター表現のため」
だ。
これは「虚構世界の中であっても真実に重きを置け」というテーマのいち方法論なのだ。
僕はこれまで落書きの大半を「前髪に隠れた眉毛は描かないこと」に徹してきた(かも)。しかしそれは写実的発想や職業病的都合(??)に準じた選択で、眉毛を描くこと自体をもう一つの選択肢とすら考えていなかったのだ。
萌えイラストは記号的にかなり要点が押さえられている。「これさえ押さえておけばかなり万人ウケ」などという萌えはないとしてもだ。
ここでひとつ、本日のラクガキを掲載したい。
…お分かりいただけただろうか。
前髪に眉毛が隠れた絵である。おかげでアンニュイな表情なのかただ柔らかな表情か、はたまた哀しみをこらえているのか、決定打のない印象を持ちはしないだろうか?
こういう感じもやっぱり好きです。
これは、情報を持ってないことと情報が隠されていることが似ているということなのですが、わかりやすさが重要なイラストやマンガの世界でも「分かりにくい状態」を端的に表現できる方法ということで、十分に記号的と言えます。
だから今となってようやくこれが(技術的価値観を超えて、)自分の好みなのだと自覚できた気がする。